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AERA STYLE MAGAZINE 編集長 山本晃弘氏に訊く!  ビジネスマンの理想のギフトとは?

AERA STYLE MAGAZINE 編集長 山本晃弘氏に訊く!
ビジネスマンの理想のギフトとは?

AERA STYLE MAGAZINE編集長 山本晃弘氏をお招きし、ビジネスマンにとって大切な心構えや着こなしのルールを紐解く恒例企画。今回は、年末になると誰もが必ず頭を悩ますギフトに纏わるお話。一口に“ギフト”と言っても、贈る相手やシチュエーションは様々ですが、スマートなビジネスマンなら喜ばれる物をさらりと手渡したいものです。では、理想のギフトとはいったいどんなものなのか? 選び方のポイントや誰もが陥りがちな間違った視点などについて、詳しく伺いました。

AERA STYLE MAGAZINE 編集長 山本晃弘

相手のことをよく考えて ストーリーを思い描くことが大切

——年末といえばギフトシーズンです。今回は、ビジネスマンは、どんなものをどのように贈るべきかについてお聞きしたいのですが。

「はい。まずギフトとは、何よりも相手のことを考えることが大切なんですね。相手のことを考えることからギフト選びは始まっています。ギフトの語源を辿ると、“天賦の才能”というような意味もあります。人が人のことを思いやるとか、人のことを喜ばせようという気持ち自体が、人間に与えられた才能だと思うんです。物を贈る際、人はその物が持つ物語性だとか、贈ったあとにどういうふうになるとか、そういうことを考えることができます。その才能に感謝しつつ、それを大切にすべきなんです」

———まずは、贈る人のことを思いやることこそが、ギフトであるということですね。

「そうです。だから贈る物そのものも大切ですが、普段こういうことをされている方だから、これを贈ったらきっとこういうふうに使うだろう、というように、相手のことをよく考えてギフト選びをすべきです。そういうストーリーを思い描けるか否かで、贈り物上手かどうかが決まってくるんです」

——なるほど。何を贈るかを考える以前に、ギフトを贈る前後のストーリーを考えないといけないということですね。いずれにせよ、年末はそういう素敵なギフトを贈る、いいきっかけになりますね。

「クリスマス、お歳暮が代表的ですが、忘年会で年に一度しか会わない昔の仲間に物を贈るのもいいと思います。ビジネスマンの場合、年末は1年間お世話になったクライアントに、プレゼントをお持ちするのにもいいタイミングですよね」

——そんなときにギフトとして重宝するのは、やはり小物だと思うのですが?

「そうですね。特にネクタイはギフトにぴったりです。ギフトを選ぶときの鉄則は、幾つあっても使ってもらえるもの。そして贈る方が日々の生活で使っているものなんです。それをビジネスマンに当てはめると、ネクタイやハンカチになります。ただ、ネクタイは、贈ることも贈られることも多いので、気をつけなければならないことがいろいろとあります」

——単純に、自分が素敵だなと思ったものを何も考えずに贈るのはNGということでしょうか?

「そうですね。ネクタイを単体で考えると、どうしてもモチーフや華やかな柄に目を奪われてしまいます。素敵だなと思うと、つい買ってしまう。ただ、主張の強いモチーフや柄のネクタイを贈られたところで、ビジネスシーンではほぼ使えないわけです。ネクタイを使うときは必ずワイシャツに着けるわけですから、シャツに当てて選んで欲しいですね。女性にも“男性に、どういうネクタイを贈ればいいですか?”と聞かれるのですが、そういうときには“ネイビーのソリッドタイ”とお答えしています」

AERA STYLE MAGAZINE 編集長 山本晃弘

ネイビーのソリッドタイこそ 種類も豊富で万能なギフト

——汎用性がもっとも高いネクタイということですね。

「そうですね。ネクタイがスーツに合わせるもの、シャツに合わせるものということを考えると、ネイビーのソリッドタイは一番使い勝手がいいんです。今までお伝えしてきたように、Vゾーンで使う色柄は2種類までという着こなしのルールを考えた場合、ソリッドタイなら色柄にカウントされませんから、他のアイテム選びを制限しないんですよ」

——なるほど。そういう見方をしても、ネイビーのソリッドタイは万能ですね。

「ただ、こういうアドバイスをすると、“同じ方に贈るときにいつもネイビーばっかりというわけにもいかないですよね?”といわれる。そういう場合は、“ネイビーってどれだけたくさん種類があると思っているんですか!”とお答えしています(笑)。ウールのソリッドタイ一つ取っても色や表情は千差万別ですし、もちろんシルクやニット、織り柄だってあります。ネイビーのソリッドタイだけでも、それだけバリエーションがあるわけですし、それが男性の服飾の面白さですから、そうやって変化をつければ、毎回ネイビーのネクタイをギフトにしても問題はないんですよ」

AERA STYLE MAGAZINE 編集長 山本晃弘

ネイビーのソリッドタイといっても表情は様々。濃淡はもちろん、織りまで含めると、そのバリエーションに限りはありません。ギフトにするなら、贈る相手がよく着ているスーツなどを、しっかり想定して選びたいものです。

ネクタイ(左から)
¥24,000(+tax) / stefanobigi
¥9,000(+tax) / SHIPSMORE
¥17,500(+tax) /LUIGI BORRELLI
¥13,800(+tax) /BREUER
¥16,600(+tax) / Nicky

——確かに、ネイビーのソリッドタイといってもすべて同じではないということですね。

「そうです。来年は明るい年になりますように、といって明るいネイビーを渡したり、気を引き締めていきましょう、といって濃いめのネイビーを渡したりするのもありです。しかもネイビーのタイなら、男性が男性に贈っても、女性が男性に贈ってもいいですし、上司にも同じ部署の仲間にも違和感なく渡せます。とにかく万能なんですよ」

——確かにそうですね。でも、どうしても柄物のタイを贈りたいという場合は、どうしたらよいのでしょうか?

「その場合は、古典的な柄がいいと思います。英国調のチェックやダークストライプ。ヴィヴィッドではないもので、寒色と寒色を掛け合わせたトーン・オン・トーンでシックにまとめたものがいいと思います。やはり、よっぽど近しい関係でない限り、贈る側の好みを前面に押し出したチョイスは避けたほうがいいですね。スマートではありませんし、ギフトに相反することです」

AERA STYLE MAGAZINE 編集長 山本晃弘

ネイビーのソリッドタイといっても表情は様々。濃淡はもちろん、織りまで含めると、そのバリエーションに限りはありません。ギフトにするなら、贈る相手がよく着ているスーツなどを、しっかり想定して選びたいものです。

どうしても柄のあるネクタイを贈りたい場合は、悪目立ちしにくく落ち着いた印象のものを選ぶのが鉄則。トーン・オン・トーンが基本です。

ネクタイ
各 ¥13,800(+tax) / BREUER

古典的な小物の場合は 極めてシンプルなものを選ぶ

——なるほど。ギフトの定番、ネクタイについてはよくわかりました。では、他の小物はいかがでしょうか?

「タイバーは、ギフトに非常にいいと思います。意外とみなさん、そういった小物が持つ役割やエピソードを知らないんですよ。タイバーは、ネクタイを持ち上げて胸元を立体的に見せるためのものですので、贈るなら極めてシンプルなもののほうがいいです。今までタイバーをつけたことがない方へ贈った場合、そのギフトをきっかけにして、タイバーをつける習慣ができるかもしれません。そういうストーリーができることもギフトの魅力ですし、アイテムが持つ意味をお伝えしながら贈るのも楽しいですよね」

AERA STYLE MAGAZINE 編集長 山本晃弘

タイバーは、極めてシンプルなデザインのものを選びましょう。過剰な柄やモチーフは不要です。抵抗なく普段使いできるものがギフトに向いています。

ネクタイピン
各¥10,000(+tax) / Louis FAGLIN

——そういう意味ではカフリンクスも同様ですね。

「そうです。カフリンクスも贈り物に適していますね。ただ着けられるシャツを選びますから、タイバーのほうが汎用性は高いです。カフリンクスもタイバーと同様に、もし贈り物にするなら極めてシンプルなもので、主張し過ぎずずっと使えるものをチョイスすべきですね」

——それでは、ビジネスマンのギフトとしてオフタイムで使うものはいかがでしょうか? ニットやマフラーも定番だと思うのですが?

「確かにニットやマフラーは、ギフトには適しているのですが、人を包み込むものですので、すごく親密性を感じさせるものでもあります。ですから、親密な人に贈るにはいいのですが、そうでない方には避けた方がいいものだと思います。どちらかといえば家族やパートナーに贈るのに、非常にいいアイテムではないでしょうか。ニットを選ぶ場合は、価格と価値が見合ったものを選ぶべきですね。代表的なシェットランドウールやカシミヤなら、だいたい平均でいくらぐらいが相場なのか、どの程度のクオリティのものがいいのか、お店の方とよく相談をしてきちんと考えたほうがいいですね」

AERA STYLE MAGAZINE 編集長 山本晃弘

ニットは、近しい人へのギフトには向いていますが、そうでなければ親密な印象を与えるので避けましょう。特に異性に贈る場合は、細心の注意が必要です。カシミヤなどの上質なものでも、こなれた価格のものも多くあります。クオリティをよく吟味して選ぶことが大切です。

ケーブルセーター
¥18,500(+tax) / SHIPSMORE
カーディガン
¥19,800(+tax) / SHIPS

男性が男性に贈るハットは 男として認めた証のようなイメージ

——ではハットはいかがでしょうか? 身に着けやすい小物ですし、贈り物にもよさそうですが?

「ハットは、オフというよりはオンで考えていい小物だと思います。私は常々、帽子を被る習慣は日本の男性がかつて持っていた素敵な文化で、失われたものの一つだと言ってきました。ギフトにも不向きではありません。ただ、ハットも親密な人へ贈るものだと思います。父親へ贈るとか、あるいは父親から就職した息子に贈るといったギフトとして、しっくりくるのではないでしょうか。男性が男性にハットを贈るのは、男として認めた証のような感じがしますよね。兜を贈るとか、刀を贈るというようなイメージに近いです。それにハットは、紳士のスタイルに必要なものですから素敵なアイテムだと思います」

——では、ハットの素材は、どんなものがいいのでしょうか? やはり上質なラビットなどでしょうか?

「ラビットなどのいい素材のものは非常に高価ですし、選ぶのは難しいですね。 贈る相手を考えながら、帽子の専門店に行ってお店の方に相談をするのがいいと思います。ただ、サイズがあるので、相当準備をしないと失敗しますから、気をつけないといけませんね」

AERA STYLE MAGAZINE 編集長 山本晃弘

ハットは素材によって価格も大きく変わります。使う人の普段のスタイルやシチュエーションを考えて、それにマッチする上質なものを選びましょう。やはり無地で汎用性の高いデザインがオススメです。

ハット
各¥8,000(+tax) / grillo for SHIPS

AERA STYLE MAGAZINE 編集長 山本晃弘

今回のお話には出ませんでしたが、ビジネスマンがよく使う小物でギフトに向いているものといえば、レザーグローブです。こちらもネクタイ同様、汎用性が高い無地のものなら、長く使ってもらえるはずです。上質で毎日使いたくなるものを使う人の立場を考えて選びましょう。

グローブ(左から)
¥13,800(+tax) / CARIDEI
¥12,000(+tax) / CARIDEI MORE
¥17,500(+tax) / CARIDEI

——確かに、サイズがわかるぐらい親密な関係でなければ贈るのは難しいですね。

「そうですね。ハットに限らず、今回ギフトに相応しい物として挙げたアイテムは、どれも、そのもの自体が追っているキャラクターがあります。ネイビーのソリッドタイにしても、ニットにしても、贈り物にするなら、それを持つ意味や使い方を知り、アイテムのキャラクターをすべて考えた上で贈らないといけません」

——ギフトというと、どうしても見た目のインパクトや、モチーフに執着してしまいがちですが、それに囚われると、本来のギフトの意味からは遠ざかってしまうということがよくわかりました。

「そうなんです。ギフトを手渡した瞬間のインパクトではなくて、贈る側にとっても貰う側にとっても、やはりストーリー性が大切なんです。贈られた側は、それを使っているときに、“あのときに貰ったものだ”ということを思い出しますし、それがいいものであれば長く使いますから、思い入れも強くなります。いただいたギフトから新しい習慣が生まれることもあるわけです。例えば素敵な傘をプレゼントされたら、雨の日が待ち遠しくなることだってあります。相手を思いやって渡した側と貰った側のストーリーが、途切れずにしっかりと続いていく物。それこそが、お互いにとっていいギフトだと言えるのではないでしょうか」

AERA STYLE MAGAZINE 編集長 山本晃弘

山本晃弘Teruhiro Yamamoto

AERA STYLE MAGAZINE編集長。MEN’S CLUB、GQ JAPANなどを経て、2008年より現職。最先端モードから服飾史に至るまで、ファッションに関するあらゆる見識を備えた“目利き”としても知られている。現在は、トークショーやイベントなどを通して、装いやファッションに関する素朴な疑問に答えるアドバイザーとしても活動。朝日新聞デジタルにて「男の服飾モノ語り」を連載中。

https://asm.asahi.com/
https://www.amazon.co.jp/dp/B076DQVZMT

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