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Safe & Clean Vol.24 ~消防士として活躍するライフセーバー~

Safe & Clean Vol.24
~消防士として活躍するライフセーバー~

NPO法人 下田ライフセービングクラブの活動理念に賛同し、1995年からその発展と振興をサポートしているSHIPS。今回は、東京消防庁で消防士として活躍しながら、選手として、また競技部担当理事として活動している山口さんにご登場いただきました。最後に、地震に対する備えも教えていただきました。

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東京都選定歴史的建造物でもある、消防署(出張所)に勤務

――こちらの高輪消防署二本榎出張所は、歴史を感じるアールヌーボーな建物で素敵ですね。

山口 昭和8年(1933年)12月28日に落成したもので、近代建築の遺産(ドイツ表現主義)として、東京都の選定歴史的建造物に指定されています。なので、消防署としては珍しく、所内の見学もできるようになっています。

――ここにはいつから配属になったんですか?

山口 二本榎出張所は昨年の10月からです。その前は高輪消防署の本署にいて、消防士になってからは7~8年経ちます。

――以前は何をされていたのですか?

山口 大学を卒業して鉄道関連のメーカーに入社したんですが、本格的に競技をやるために辞めて、2年ほどアルバイトをしながら競技に専念していました。その間に、下田ライフセービングクラブと友好関係にある、オーストラリアのマルチドーに留学したり。

――アスリート生活をされたんですね。でも、その道も大変な世界ですよね。

山口 そうですね。大会で優勝してもお金にならない世界ですから。当時は、勝つことでライフセービングの発展に寄与したいと考えていましたが、最近は「こんな経歴の人もライフセービングをやっているんだ」という方向で認知度をアップできればと思っています。

――まさに、今回はそういう企画です(笑)。ライフセービング競技を本格的にやられていたので、体力には自信があったと思うのですが、消防学校に入ってみていかがでしたか?

山口 やっぱり体力レベルはみんな高かったですね。いろいろな競技の全国レベルの人もたくさんいますよ。でも、身体能力が高くなくても半年間の訓練で鍛えられるので、消防士を目指す人はあまり心配しなくて大丈夫だと思います。

――実際にどんなトレーニングをされていたんですか?

山口 懸垂と1500m走は体力の指標として計測するので、よくトレーニングしていました。懸垂はサーフスキーに必要な筋力そのものですし、1500m走のタイムはボードレースの競技時間と近いものがあるので、ライフセービング競技のパフォーマンスにも通じると思いますね。また、消防活動の訓練は、5、6人の「小隊」を作って行うのですが、隊員同士の連携や役割分担ができないと上手くまわらない、チームで行動する感覚が身に付きますね。

――消防学校での基礎トレーニングで、ライフセービングでも使えるなと思ったものはありますか?

山口 消防学校の訓練にも取り入れられている懸垂や1500m走は、基礎体力をつけるために田ライフセービングクラブでも勧めています。夏は朝練の時にビーチランの合間に監視タワーで懸垂したり。また、ライフセービングの溺水事故を想定したシミュレーショントレーニングでも、消防活動と同様に、チームでどうやって動くかを考えたりもします。

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本格的な国産消防ポンプ自動車の第1号といわれている、「ニッサン 180 消防ポンプ自動車」も展示されている。高輪消防署では、1945~1964年まで実際に使われていた。

消防士とライフセーバーは、「組織で活動してチームで動く」ところが共通点

――ライフセービングと消防は、「人命救助」という部分で共通点があるなと思うのですが、実際にはどうなのでしょう。

山口 「人命救助」の視点よりも、「組織で活動してチームで動く」というところのほうが共通しているように感じます。組織で活動することで、一人ひとりの能力以上の力を生み出す。なので、組織の作り方や安全管理の面で勉強になることが多いですね。

――組織で成果を出すにあたって、ポイントになる部分はどこでしょう。

山口 日頃のコミュニケーションだったり、一人ひとり何ができて、何ができないのかを把握すること。そのなかで、個人がチームに対してどれだけできるかという部分ですね。

――消防にしてもライフセービングにしても、現場では誤魔化しがきかないですもんね。そう考えると、常に嘘がない関係性を作っておかないといけないですよね。

山口 そうなんです。消防は志があって入ってくるメンバーがほとんどですけど、ライフセービングの場合は、大学生もたくさんいるので。最近は意識の高い学生も増えていますが、自分の頃はいろいろなタイプの人がいましたから。それでもうまくやっていくためには、一人ひとりができることを、チームのために注がないとカタチにならない。自分は中学・高校と水泳をやっていて、身長もあったので、メンバーのなかでは動けるほうだったんです。それならば、みんなが体力的にラクになるようトレーニングを頑張ろうと思っていました。今でもそのつもりでトレーニングを続けています。

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サーフスキーは乗れるようになるまで早くて半年かかる

――すでに中学生の頃には、ライフセーバーになるのが夢だったとか。

山口 何がキッカケだったかは憶えていないんですけど、中学のときにそういう作文を書いたんですよね。兄も下田(伊豆)でライフセービングをやっていました。大学も、ライフセービングがやりたくて、部活として歴史がある成蹊大学を目指したんです。

――スイム、パドルボード、サーフスキー、ビーチランの4種目をひとりでおこなう、オーシャンマンが得意だと伺いましたが。

山口 学生の頃はオーシャンマンだったんですけど、最近はサーフスキーがメイン。カヌーやシーカヤックみたいなものですが、細長くて大きいので、波に対する扱いなどテクニックが必要なんです。最初は丸太に乗っているような感覚で、まともに漕げない。早い人でも乗れるようになるまで半年はかかります。でも、どの競技器材よりもスピードが出るので楽しいんです。波に乗れたらいっきに逆転もありえますし。最近は長距離レースも人気になってきていて、そっちはカヌー競技をやられていた方たちの転向も増えています。自分も興味がありますね。

――競技ではなく、単純な遊びとしてのサーフスキーもあるのですか?

山口 オーストラリアだと、サーフスキーの長さを少し短くして安定感を高めたものをやっている方もいますけど、日本ではほとんどいないですね。感覚的にはシーカヤックなのですが、一番の違いは、サーフスキーは船内に下半身を入れず、体育座りのようにしてボードの上にちょこんと座っているだけなんです。また、サーフィンは崩れかけている波に乗りますけど、サーフスキーはうねりに乗る感じ。サーフィンのような波にも乗れますが、それはかなりのテクニックが必要です。

――現在、ライフセービングでの目標は何かありますか?

山口 下田ライフセービングクラブの競技部担当理事として、全日本大会での総合優勝は毎年目指しています。個人としては優勝を目指しつつ、まずはチームにポイントを入れられればと思います。また、ライフセーバーとして、ライフセービングの人命救助としての側面だけでなく、危険な場所を遊泳禁止にしたり、注意すべきポイントを事前に知らせたり、そういうリスクマネージメントに関する活動をもっと知ってほしいと思います。

――では、最後に消防士としてのやりがいを教えてください。

山口 どんな仕事をしていても、「この仕事は世の中のためになっているのか?」という疑問が生まれることもあると思うんです。でも、消防士という仕事は間違いなく地域の方々のためになっている。それがモチベーションになるのはありがたいですね。

――今日はありがとうございました。

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かつては「地震だ火を消せ」というのが合言葉でしたが、いまは「地震だ身を守れ」と言われています。火の元を閉じようと動いて、火傷をしてしまうケースもあります。現在では、ガスの器具や電気器具は地震の揺れを感じると自動的に停止するようにもなってきていますので、まずは身の安全を確保してください。

・家具類の転倒・落下・移動防止対策
家具は想像以上に重いので、地震の揺れで落下したり、動いて挟まってしまうと身動きが取れなくなってしまいます。阪神淡路大震災の際も、家具に挟まれてしまった方々が多くいらっしゃいました。そのためにも、避難に支障がない配置を心がけるだけでなく、天井や壁などに固定して、転倒や落下、移動などを事前に防止することが重要。

・寝室にはスリッパや靴を置く
停電など暗い状態のなか、素足で歩くと飛散したガラスを踏んで怪我をすることが多いんです。映画「ダイ・ハード」でもそんなシーンがありますよね。そうならないためにも、懐中電灯をすぐに使える場所に置いておくのはもちろん、寝室にはスリッパや靴を置いておくことをおすすめします。また、食器棚や窓ガラスなどに、飛散防止措置をしておくことも大事です。

・耐震診断などを受け、家具や塀の強度を事前に確認しておく
・消火器の準備や、風呂の水のくみ起きなど、消火の備えをしておく
・住宅用火災警報器の設置や、感震ブレーカー・感震コンセントなどの機器を設置して、火災発生の早期発見や防止対策を心がける
・ラジオ、懐中電灯、非常食などの非常用品を備えておく
・地震発生時の家族の役割分担を決めておく。また、安否確認の方法や集合場所、避難経路などの確認も
・自治体の防災マップなどで、自宅付近の危険性を把握しておく
・過去の地震や教訓や、防災に関する情報を集め、日ごろから防災知識を身につけておく
・防災訓練などに参加して、身体防護や出火防止、初期消火、救出、応急救護、通報連絡、避難要領などを身につけておく。

東京消防庁 - TFD
www.tfd.metro.tokyo.jp
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山口 智史 | Satoshi Yamaguchi

下田LSC競技部担当理事。監督、コーチ、チームマネージャーの役割を担っている。
東京消防庁LSC所属。
日本ライフセービング協会のアスリート委員。
競技者の立場から競技会運営、ライフセービングスポーツに関する提案もしている。

■大会成績
2009年
第22回全日本ライフセービング種目別選手権大会 サーフスキーレース 第5位
2010年
第23回全日本ライフセービング種目別選手権大会 サーフスキーレース 第5位
2011年
第37回全日本ライフセービング選手権大会 サーフスキーレース 第6位
2012年
第25回全日本ライフセービングプール選手権大会 4×25mマネキンリレー 4位
2013年
第26回全日本ライフセービング種目別選手権大会 オーシャンマンリレー(サーフスキー担当) 第3位
第39回全日本ライフセービング選手権大会 サーフスキーレース 第7位
2015年
第28回全日本ライフセービング種目別選手権大会 サーフスキーレース 第6位

■関係資格等
JLA アドバンスサーフライフセーバー
JLA C級認定審判員
SLSA ブロンズメダリオンライフセーバー
SLSA IRBクルー
応急手当指導員
1級小型船舶操縦士
特殊小型船舶操縦士
小型船舶特定操縦免許
1級海上特殊無線技士

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