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「未来は過去にある」 ー1920年代の女性達のスタイルとアバンギャルドー

「未来は過去にある」 ー1920年代の女性達のスタイルとアバンギャルドー

この写真集に紹介されているのは、フィッジェラルドの妻ゼルダ(カリスマフラッパー)、ボブスタイルのオリジナルであるココ・シャネル(デザイナー)、20年代モダンガール筆頭のクララ・ボウ(女優)、モンパルナスのキキと呼ばれたアリス・プラン(女優・画家・モデル)、パリのセックスシンボルとなったジョセフィン・ベーカー(女性ジャズシンガー)、女性チャールズ・リンドバーグと称賛されたアメリア・イアハート(女性飛行家)など、伝説のモガたち。
流行の歴史を紐解いたとき、その最初の革新ともいえるカルチャーが1920年代のパリに存在する。それが世にいう、”ロスト・ジェネレーション”、”ローリング・トゥエンティー”である。フランスは第一次世界大戦の勝利と引き換えに大きな犠牲を払い、人々は耐え難い恐怖への反動で失われた時を取り戻すことに急いだ。また戦後、ファシズムの台頭でヨーロッパ中からパリに押し寄せた、着の身着のままで逃れてきた移民たちなくしては、狂騒の20年代はありえなかった。彼らにとってフランスは進歩と誠意、人権といった理念の象徴であったのだ。こうしてパリは、世界一の国際都市になり、モンパルナス地区は芸術家のたまり場から新しいアートの本拠地、そして前衛芸術の世界的中心地になった。当時フランスの女性には参政権がなく男性の支配下にあったが、戦時中の経験は女性達を強い自立への道に歩み出させ、その主義主張が古い社会の価値観を一新させた。ショートカットが流行し、スカート丈が短くなり、コルセットが廃れ、この新しいファッションが女性達を開放に向かわせた。おしゃれな女性達は「ジャンヌ・ランバン」や「エルザス・スキャバル」のワンピースに夢中になった。さらに新風を巻き起こしたのは「ココ・シャネル」の登場だ。その飾り気のないボーイッシュな表現は、新しさに満ち溢れたスタイルだった。

あの有名なボーイッシュなボブカットは女性達の意思の表明であった。こういったファッションを好む女性達を「ギャルソン」、英語では「フラッパー」と呼んだ。あのボブカットはもはやファッションの枠を越えた「狂騒の20年代のシンボル」であった。アメリカからパリに渡った作家の一人であるF.スコットフイッツジェラルドの小説『楽園の向こう側』や『グレイトギャッツビー』にはまさに、夜毎、パーティで華やかに君臨する女性達「フラッパー・ガール」が描かれている。ボブカットを包むヘアキャップ、ローウエストのワンピース、時代の旋律「チャールストン」や「ジャズ」をバックに踊りだすと裾が激しく揺れる…そんな躍動感が「フラッパー・ガール」のスタイルであった。ダンスの合間にはシャンパングラスを片手に、タバコをロングフィルターパイプで粋に嗜んだ。それまでの女性に規せられていた社会の重い規約を脱ぎ捨て、自分の強い主義主張を表に現した新しい時代の前衛的な生き方を模索したのが「ギャルソン」であり、「フラッパー」の総称=日本でいう「モボ・モガ(モダン・ボーイ、モダン・ガール)」の「モガ」なのである。日本でも大正デモクラシーの自由な風に乗り、大正末期から昭和初期にかけて若者たちはモボ・モガ旋風に熱狂した。”軽佻浮薄”の短絡的な若い男女に対する軽蔑語でもあったが、女性の社会進出が進んで新しい職業が生まれ、社会に洋装が広まり、女優クララ・ボウやマレーネ・ディートリヒ、グレタ・ガルボに憧れたファッションと、細眉や陰影の濃いメイキャップの女性が増え、まさに世界中が時代の最先端だった。こういった時代背景が作用した流行は、今でいう「トレンド」の一言には収まりきらないパワーを持って、カルチャーとして今の時代にも確かに存在する。この一冊には、今の時代に一石を投じるような、“自分らしさ”を表現するためのファッションへの気づきやインプレッションが溢れている。

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